2007年07月23日

しつこく《無極/PROMISE》

たかがテレビごときに、日曜洋画劇場ごときに、いつまでもこだわる私は本当にヘンだと思いますが、今日は暇なんでもう少しブツブツ言わせて下さい。

【公爵の過去がいっさい語られない】
《無極》のキーワードは「饅頭」とすら思っている私にとって(笑)、饅頭の一件が丸ごとすっぽり抜けているのはどうにも納得がいかない。ラストの公爵の告白のシーンで、もともとファンだった私ですら霆鋒に惚れ直したのに、あのシーンを放送していれば、それこそ「ニコラス・ツェー、きれいね〜」ぐらいに思っていた人が雪崩を打って公爵堕ちしたでしょう。いや別にファンが増える増えないはどうでもよくて、霆鋒の渾身の演技をばっさり切られたのが残念。
そして《無極》っていう映画は確かに妙な映画だけど、饅頭の件で最初と最後がつながって公爵の存在の意味が明かされることで、妙は妙なりに不思議な魅力を放つ映画になるはずだったのに。「饅頭」のない《プロミス》なんて《プロミス》じゃない。

【クンルンが将軍の奴隷になった理由も変えられていた】
真田将軍から「どうしてワシの奴隷になるのだ?」と訊かれたクンルン、「あなたが将軍だから」って。勝手にセリフを変えるなー!そこは「肉が食えるから」でしょうが。でも食い物の肉に執着する奴隷のクンルンの登場シーンがカットされている以上、ここのセリフもこうするしかなかったわけ。
でも《無極》の1つの見所はクンルンの成長物語でもある。四つん這いで、いつも空腹で肉しか目に入らない動物以下のクンルンが、少しずつ人間性に目覚めて、“希望”を持つことを知る、その過程をチャン・ドンゴンは結構うまく演じていたのに、大幅カットとセリフの改ざん、そしてキャラにあわない吹き替えの声で台無し。ここはドンさんファンも怒るべきでしょう。

【鬼狼とクンルンの心の交流もばっさりカット】
テレビを見ていた人は、クンルンの出身地である北の国や、母や妹の突然の出現におおいに戸惑ったでしょうね。真田将軍から「国へ帰れ!」と見放され、行き倒れてしまったクンルンを、鬼狼が愛おしそうに背中に乗せて連れていくシーンがカットされているから意味不明になってました。その時に母と妹の幻を見せられ、自分の生い立ちを知ったクンルン。鬼狼に上着までもらって、それが極彩色ボロ着(あれだけは正子さんのデザインではなかったらしい、笑)にも関わらず「上着をありがとう」って恥じらいながら嬉しそうに鬼狼にお礼を言うクンルン、それもこれも全部カットでした。

【公爵が鬼狼を「我が友」と呼んでいたこともカット】
中国語のセリフでは、公爵は自分の奴隷である鬼狼を「朋友」と呼んでいたんですよ。もちろんテレビ放送ではそんなこたぁ、ふっとんでましたがね。
トラウマにとらわれている公爵は、人を信じられないけど本当は信じたくて仕方ない人。部下はいても、人間として自分と向き合い交流してくれる人を持たない公爵は、だからこそ黒衣を利用する。黒衣の力で自分の元に置くことにした鬼狼だけど、もしかしたらトモダチになってくれるかもと、かわいそうな公爵は心のどこかで期待していた。でも鬼狼はクンルンを助けるために公爵を裏切る。武器庫での「屏風の闘い」に至る前に、鬼狼に向かって「還給我(黒衣を返せ)!」と叫ぶ公爵の声は「信頼を返せ!」という悲痛な叫びでもあったわけです。でもそこもカット。ラストの告白に告ぐ、霆鋒の演技力の見せ場だったのに。もうあそこで公爵がかわいそうで、かわいそうで、仕方なくなるってもんだったのに。
しかも、そういう公爵の黒衣にかける歪んだ想いがあってこそ、ラストで真田将軍が黒衣を着てくれると言った時の、公爵の涙の理由がわかるわけですよ。ずっとライバルとして愛憎入り混じった気持ちを抱いていた将軍が、これからはトモダチになってくれるかも?と哀れな公爵は一瞬、思っちゃったんですね。でもあっさり将軍にも裏切られ。結局、何度も人を信じようとしちゃ裏切られ続ける公爵。ほらね、だから最初のトラウマの元をカットしちゃっダメなんですよ。あれがないと、その後の公爵の悲しい一生が観る人にはわからない。トラウマの元は「饅頭」ですけどね。

最後は思いっきり公爵主体になってしまいましたが、そもそもこの映画で複雑な心情を最もよく描かれていたのが公爵ですからね。なのに主役は真田将軍と奴隷のクンルンということで押し通そうとしたところに《無極》という映画の破綻があったわけで。ある意味、テレビ放送ではその破綻を修正するために「饅頭」をいっさいカットしたのかもしれません。でも、それ以外にも肝心な場面がカットされまくりで、いったい何を言いたいのか全く意味不明な映画になってしまったのが本当に残念。
テレビ版でちょっとでも何か感じた方がいらっしゃったら(いるのか?)、是非、DVDをレンタルして観て下さい。

《PROMISE》日本版DVD
左から 「プレミアムBOX」 「特別版」 「通常版」
  

PROMISE-Visual Book  無極 正子公也デザイン画集   PROMISE (単行本)
  
posted by meiry at 11:57| Comment(8) | TrackBack(2) | ニコラス(無極/PROMISE) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さすが、お見事、meiryさん!
ひとつひとつ、感心しながら読みました。
ぶっちゃけ、Pはこんなに鋭い分析できてないし(汗)
また、見直すときに参考になります。
テレ朝はよくやった方だと思ったけど、コレ読んで、そー思った自分がトホホです〜^^;
まだまだ修行が足りませんね、ますますmeiryさんに憑いて行かなければ!(笑)
Posted by パブロ・あいまーる at 2007年07月23日 19:43
■Pちゃん
やだなー、これは私の勝手な解釈ですよ〜。鵜呑みにしないで下さいね。

「無極」はねー、新しいファンの方には「嫁とヨリを戻すきっかけになった映画」にしか過ぎないかもしれないけど、実は休業明けの霆鋒が再起をかけて挑んだ映画で、ファンにとっても待ちに待った映画だったわけで。それだけに見事な演技を見せてくれた霆鋒の公爵にはもう感動しまくりだったし、並々ならぬ思い入れがあるのです。なので、ついつい熱く語ってしまうの(笑)
Posted by meiry at 2007年07月24日 02:35
う〜ん!
でも凄いよぉmeiryさん(^^ゞ
愛だね!愛!!
これからは師匠と呼ばせてm(__)m
私なんか邪な見方してて、Pチャン以上にトホホなやつよん(;´д`)
Posted by ソン at 2007年07月24日 08:26
■ソンさん
そりゃねー、4回も映画館で観れば映画への「愛」も生まれるってもんでしょー。
「邪な見方」ってどんな?(笑)お茶の間の皆さんにそうやって気楽に楽しんで
もらえたら、それでいいんですよね。日曜洋画劇場なんだし。
こんなヘンなヤツを師匠と呼んじゃいけませんよ(笑)
Posted by meiry at 2007年07月24日 23:53
はじめましてm(_ _)m
す〜ごいです。meriyさん
深い観方ですね 師匠
まだ TVの録画してちゃんと観ていないのですが、
色んな処がカットされて さみしいです
饅頭のトラウマのところなんて面白いのに
meriyさんの読みすごいです
霆鋒の美しさに☆(*^o^)乂(^-^*)☆ ヤッタネ!!です。
Posted by ロン at 2007年07月27日 15:19
■ロンさん、はじめまして〜。
いやあ、だから私の観方はかなり妄想入ってますから、
信じちゃダメですってば(笑)
でも饅頭カットは本当に残念です。

「詠春」(「または双龍記」)の霆鋒もまた別の美しさですよ〜
期待して下さいね。

Posted by meiry at 2007年07月28日 01:07
お久しぶりです。
「無極」、そんなにカットされての放映だったんですか。
何をカットしても、「饅頭」の一件だけはカットしては駄目ですよね。
私も「饅頭」あっての「無極」だと思っています。
「饅頭」のない「無極」なんて、それこそただの駄……げふげふ。
韓国放映バージョンもいろいろカットされていましたからねえ。
DVDですらカットバージョンがあります。
だいたい公爵関係が多くカットされているのが哀しいところですね。
真の主役は公爵でいいじゃないか!

Posted by chinatomy at 2007年07月31日 16:39
■chinatomyさん
わーい!お久しぶりです。ご無事のご帰国、なによりです。

chinatomyさんの詳細な「無極」解説が懐かしいですね〜。
そうなんですよ、「饅頭」カット。なんと勿体ないことをするのか・・・。
もちろん、真の主役は公爵でっす!!
Posted by meiry at 2007年07月31日 21:44
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